上山田温泉の歌碑群
上山田温泉地区で特筆すべきは萬葉公園の歌碑群である
萬葉公園の出発点はまず昭和11年（1936）に山崎等や
清水信雄らが発起人となり、
万葉集の「信濃なる千曲の川のさざれ石も」の歌を歌碑に
しようという提唱がなされたことである
歌碑の建設は戦争のために中断したが昭和25年（1950）に
万葉歌碑は建立され、昭和60年（1985）には現在に
見られる萬葉公園が建設された
萬葉公園には万葉集を中心に信濃路をはじめ千曲川や
姨捨山の月などを詠んだ歌碑が立ち並び、
万葉歌碑建設の発起人である山崎等や清水信雄の歌碑に加え、
上山田温泉にゆかりの深い作詞家である山口洋子の
「千曲川」の歌碑もあり、バラエティ豊かなラインナップが
見られる
萬葉公園のみならずホテルや街中にも歌碑が見られ、
文化の香りただよういで湯の街・上山田温泉を体現している
と言える
上山田温泉の街中の歌碑
井上靖の歌碑・平成5年（1993）・中央公園
「潮が満ちて来るやうな そんな充たし方で 私は私の人生を充たしたい」
松崎鉄之助の歌碑・平成11年か（1999）・城山
「千曲寒風戦友がどの村々にも」
天皇皇后歌碑・平成8年（1996）・城山
「国もると身越きて徒けしひと能 可へを志おも布 阿さ尓ゆう耳」（天皇）
「あ免徒ち乃 神もも里ませいたつ幾にいたてふなやむ 万寿ゝ美能」（皇后）
村松冬子の歌碑・平成15年（2003）・旧十字屋前
「夕ぐるる 町のネオンをあわあわと 映して千曲の川面静けし」
久米禅師の歌碑（万葉集）・昭和47年以前か（Before 1972）・つるの湯
「信濃の真弓わが引かば貴人（うまびと）さびていなと言はむかも」
小林一茶の句碑・不明・中央ホテル
「そばどきや月の信濃の善光寺」
武者小路実篤の歌碑（上水道竣工記念碑）・昭和38年（1963）・中央公園
「こゝに温き泉湧く 百万人の人遠方より来たる 彼等喜び我等喜ぶ ありがたき哉」
松島十湖（じゅこ）の句碑・昭和63年（1988）・上山田ホテル
「宿の湯にのばす命や千代の秋」
川村驥山の句碑・昭和61年（1986）・旧信州観光ホテル
「天賜霊泉」
※信州観光ホテルが取り壊し工事で立入禁止のため現存確認ができずパンフレットの写真を掲載
萬葉公園北側の歌碑
万葉集の歌碑・昭和25年（1950）・萬葉公園北側
「信濃なるちく万の川のさゝ礼志も きミ之不みて者（ば）玉と比呂者舞（はむ）」
佐久屋にあった万葉集の歌碑・昭和61年（1986）・萬葉公園北側
「信濃奈流 知具麻能河泊能 左射礼思母 伎弥之布美弖婆 多麻等比呂波牟」
山崎等の歌碑・昭和41年（1966）・萬葉公園北側
「この川に一つとなりて流れゆく親しさを見よ水の心の」
「ふるさとは閑古鳥鳴きて静かなり土耕してここに死ぬべし」
清水信雄の歌碑・平成15年（2003）・萬葉公園北側
「泉水の鯉もうごかず午（ひる）さがり」
山口洋子の千曲川歌碑・昭和60年（1985）・萬葉公園北側
「水の流れに花びらをそっと浮かべて泣いたひと 忘れな草にかえらぬ初恋（こい）を想い出させる信濃の旅路（たび）よ」
萬葉公園南側の歌碑
万葉集の歌碑（作者不詳）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「中麻奈尓 宇伎尓流布祢能 許藝弖奈婆 安布許等可多思 家布尓思安受波」
山上憶良の歌碑（万葉集）（右）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「瓜食えば子ども思ほゆ栗食めばまして偲ばゆいずくより来りしものぞ目なかひにもとなかかりて」
山上憶良の歌の反歌（左）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「銀も金も玉も何せむに優れる宝 子にしかめやも」
万葉集の歌碑（作者不詳）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「信濃路は今の墾道（はりみち） 刈株（かりばね）に足踏ましむな 沓はけ我が背」
他田舎人（おさだのとねり）大島の歌碑（万葉集）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「可良己呂武 須曽爾等里都伎 奈苦古良尓 意技弖曽伎怒也 意母奈之爾志弖」
久米禅師の歌碑（万葉集）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「みこも刈る 信濃の真弓我が引かば貴人さびて いなと言はんかも」
「みこも刈る 信濃の真弓引かずして 弦はくるわざを知るといはなくに」
志貴皇子（しきのみこ）の歌碑・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「石檄 垂見之上乃 左和良妣乃毛要出春尓 成来鴨」
古今和歌集の歌碑・（詠み人知らず）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「わが心 慰めかねつ更科や 姨捨山に照る月を見て」
紀貫之の歌碑（拾遺和歌集）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「月影はあかず見るとも更科の山の麓になが居すな君」
小野小町の歌碑（続<しょく>古今和歌集）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「あやしくも慰めがたき心かな 姨捨山の月もみなくに」
宗良親王の歌碑（李花集）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「更科の月みてだにもわれはただ都の秋の空ぞ恋しき」
賀茂真淵の歌碑（加茂翁歌集）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「秋風は立ちにけらしな佐良志奈や姨捨山の夕月の空」
若山牧水の歌碑・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「秋風の空晴れぬれば千曲川 白き河原に出てあそぶかな」
「かんがえて 飲みはじめたる 一合の二合の酒の夏の夕暮れ」
若山喜志子の歌碑・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「故さとの信濃なるかもいまぞわが千曲の川の長橋わたる」
加舎白雄の句碑・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「なかんづく鮎の尾あかし千曲川」
「宇羅和可伎 白蒿也（かわらよもぎや）春農風」
小林一茶の句碑・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「（姨捨などとは老足でむずかしく） 有合の山ですますや今日の月」
高浜虚子の句碑・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「春雨やすこし燃えたる手提灯」
臼田亜浪の句碑・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「上山田 朝雲雀 千曲の瀬音 空打てる」
田中冬二の千曲川の歌の歌碑・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「千曲川の磧に麦は黄ばみたり 夕暮れ流れに釣糸を垂るれば 赤腹といへる鮑かかるなり」
佐久間象山の歌碑・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「余年二十以後乃ち匹夫も一国に繋り有るを知り 三十以後乃ち天下に繋り有るを知り 四十以後乃ち五世界に繋りを有るを知る」
正木不如丘の歌碑（千曲小唄）・昭和60年（1985）・萬葉公園南側
「岩間逃げ水 ひそゝ小道 木の根艸（くさ）の根わけて来て さざめき合えば 噂末ひろ千曲川」
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