水天宮揃踏み
すがすがしい公園にある水天宮
水天宮碑や祠は温泉街のメインストリートである
水と緑と潤いのある公園にある
温泉地区はかつてヨシキリが鳴く河原であった
明治36年の温泉場開発により、温泉地区は
急激な発展を遂げる
明治2年の温泉湧出の発見から明治36年の温泉場開発までの間
千曲川は決まりごとのように洪水を起こした
水天宮碑はその水難被害を抑えようとしたものだろう
安全な温泉場であるように
水天宮碑の建立年代は定かではない
温泉地区には堤防上にもう一基の水天宮碑がある
堤防上の水天宮碑は洪水除けと温泉守護を祈願して
建立したものだという
明治36年の開湯時には温泉地区に50余戸あった家も
水害により明治末には半数に減ったという
そのため堤防に水天宮碑が建立されたもののようである
そして洪水で碑が流された場合に備えて水天宮碑の分身を
作ったようだ
それがこの水天宮碑である
はっきりとした年代はわからないが、おそらく明治末から
大正初期と考えていいだろう
水神の二面性
温泉地区には二基の水天宮碑がある
上山田全体では七基の水天宮碑が確認できる
そのほとんどは角ばったゴツゴツした荒々しい石である
これは男性を表す陽の石である
この水天宮碑は丸みを帯びた優しい女性を表す
陰の石である
陰の石を用いているのは、この水天宮碑のみである
昔の人は荒れる千曲川には水神がいると考えた
その水神には「荒魂（あらたま）」と「和魂（にぎたま）」
という二面があるとも考えた
荒魂は川を氾濫させて被害を与える荒ぶる面であり
和魂は適度な雨を降らせて豊作を与えてくれる優しい面である
千曲川を友とする
スポーツエリアの水天宮
上山田には「太神宮」や「大神宮」と刻まれた水天宮がある
これは神々の頂点に立つ伊勢大神宮の神威によって
水神の荒魂を抑え込もうとする、言わば強硬策である
対して、弁財天や祠を祀る場合もある
これは荒魂を神様として崇めることにより、荒魂を
和魂と成すためのもので、言わば懐柔策である
この水天宮碑のみが陰であるのは、
千曲川をなんとかしようとするより、これからは
この川とうまくやっていこうとする考えだったのかもしれない
温泉場開発により、商売を目的として他所から
大勢の人々が上山田に流入してきた
これまでの上山田にはなかった文化習慣が入り
荒魂を鎮める水天宮から、荒魂を和魂と成す
水天宮という新たな感覚が出来上がったとも言える
データ
水天宮
所在地 上山田温泉2丁目水と緑と潤いのある公園内
寸法（ｃｍ） 100×37
建立年代 明治末頃か
碑には「水天宮」
地図
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