山で奏でる水の音
弁財天とは
弁財天はインドの大河の神様だった
流れる水の音から音楽の神様とされ、仏教と共に
日本に伝わった
本来弁才天だったようだが、中世以降に「財」と
書かれて金銭に利益があるという信仰を生んだ
江戸時代中期以降は七福神の一人に数えられた
元々は水の神なので水辺に祀られる
城腰地区にある弁財天の石祠は水神の
役割を負っている
水源の神
この弁財天石祠は八坂は大鹿池を登って行った
場所にある
山道にたたずむ地蔵様がある場所のやや上の方である
この場所は大鹿地区の水源があった場所のようだ
石祠は水源を守護する神として祀られたものだろう
大鹿池の水源か
大鹿池
大鹿池は灌漑用の溜池である
しかしいつ頃に作られたものかは詳しくは不明である
だが嘉永2年（1849）、元治2年（1865）、慶応2年（1866）
に渡って大鹿池の敷地買収や改修したとの記録が
残っている
大鹿池は弘化4年（1847）の大地震で四辺の
山沢が絶水したと記録にある
大地震とは善光寺地震のことであろう
弁財天に祈りを
石祠は建物に安置されていて、祠の裏側までは
見ることができない
しかし祠のことは記録に残っている
記録によると祠の建立は天保8年（1837）である
その10年後に地震が起きたわけである
それを受けて人々は一致協力して池を拡張し
堰を作るなど17年の歳月をかけて今の大鹿池を
完成させた
その間人々は弁財天に枯れることのない水を
必死になって祈ったに違いない
水は静かに奏でゆく
大鹿池は今日も満々と水をたたえている
人々の不断の努力は今日も生きているのである
そして弁財天の石祠は今日も静かに山の中で
池を見守り、水の音を奏でているのである
データ
石祠（弁財天）
所在地 上山田八坂大鹿山林
寸法（ｃｍ） 55×28
建立年代 天保8年11月
祠には「天保八年十一月吉日」、「大鹿村中」
（記録上）
地図
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